2020年に導入され、今でも多くの新台に搭載されているパチンコの機能といえば「遊タイム」です。 ですが、……
【2025年最新】パチンコの規制緩和の流れを解説☆【総量規制とLT導入】

パチンコもパチスロも常に規制と緩和の繰り返し。それこそ数年単位で無限ループをしているかのような業界的規模で動いています。
行き過ぎた規制から業界が瀕死に陥っている実情、そして業界全体では尊法遵守の精神が根付き健全化が進んでいっているといった事情を鑑み、徐々に手綱が緩められていましたが、2025年は更なる緩和のターン。
特にパチンコではラッキートリガー(LT)という基準の下、短時間で大量の出玉を獲得できる流れでファンの拡大を図っています。ここでは、そんなLTを中心とする近年の規制と緩和について紹介していきます。
10分で読める記事です
近年のパチンコの規制と規制緩和の歴史
そもそも「規制」や「緩和」とは、一定の基準が設けられ、それに対し新たに制限されたり、禁止されたりすることを規制と言い、新たに有用な技術が認可されたり、使用するハードルを下げられたりすることを緩和と言います。
この一定の基準というのが警察庁を初めとして決められる風営法と呼ばれる法律です。法律ともなると大変根拠の強いものであり、何かあったからと簡単に変更することは罷りなりません。しかし、現実には運用上での問題やファンのニーズなどに対応する必要が求められ場面も多々出てきます。そこで、その法律ではあくまでも大枠を定め、その下に業界が小回りが利く実際の運用レベルで決めていこうという、内規と呼ばれる基準を設けています。
例えば、2018年のパチスロ6号機の施行に合わせ、パチンコも新たな基準に従うことになりましたが、ここではざっくりと一回の大当り出玉が従来の2/3になるよう各数値を定められ、この出玉試験に沿うと認められたもののみが設置できるように決まりました。
法律の枠の中でどう楽しんでもらえるパチンコを提供していくか
ここまでが風営法での規格。大変厳しいものではあるのですが、逆に言えば、この「従来の2/3以内に収まる」ようになれば良いわけで、より具体的にどう割り振ったもので試験を行うかを決めるのが内規となります。2025年7月7日より始まる「LT3.0プラス」はこの内規変更によって生み出されたルールで、プレイヤーからするとより過激な出玉を得られるようになっているため緩和方向の運用と言われるわけです。
このように近年で起きた規制と緩和を見ていきましょう。
年月日 | 変更・追加されたルール | 規制/緩和 |
---|---|---|
2022.3月 | 遊タイム発動条件の引き下げ | 緩和 |
2022.3月 | コンプリート機能(打ち止め)搭載の義務化 | 規制 |
2023.4月 | スマートパチンコ(e機)の登場 | – |
2024.3月 | ラッキートリガーの登場 | – |
2024.7月 | ラッキートリガー2.0の登場 | 緩和 |
2024.9月 | 新Cタイムの登場 | 緩和 |
2025.3月 | 『P-スキップ』の登場 | 緩和 |
2025.7月 | ラッキートリガー3.0の登場 | 緩和 |
遊タイム発動条件の引き下げ
通常時の大ハマリへのストレスを軽減させる目的で設けることができるようになった「遊タイム」ですが、これまでの発動の条件は通常時(低確率時)大当り確率分母の2.5倍以上3.0倍以下の回転に限ると定められていたところを、これからは1.5倍以上3.0倍以下の回数の間に設けることができるようになりました。
これにより、確変や時短が終わってしまった後でもすぐに遊タイムが助けてくれる…そんな機種の開発が可能となります。
コンプリート機能(打ち止め)搭載の義務化
『いきなり定量に達して遊技を強制的に止めるのは遊技の公正を害するが、液晶などで前もって遊技者にその旨を知らせておいて止める分には問題があるとは言えない』…といった警察庁の解釈基準を受けて、パチンコでは2023年よりコンプリート機能の搭載が標準化されています。
一撃で無限の出玉を獲得するというビッグドリームを掴むことはできなくなりましたが、この規制を担保にしてコンプリート機能が発動するまでの大量出玉を獲得しやすくなる(例えば普通に作ると3万発が1%程度で獲得できるが、コンプリート機能ありでは同じ3万発を2%の割合で得られる性能を有する)機械の開発ができるようになるという見方もでき、ある意味では緩和とも言えます。
スマートパチンコ(e機)の登場
遊技のほとんどを電子管理で行うスマートパチンコ(スマパチ。e機)がスマスロより遅れること半年、2023年4月3日からホールに設置されるようになりました。スマスロ同様、スマパチも専用の優遇機能が使えるようになっており、遊技性の向上が図られています。
ところが、そんな華々しく切ったスタートもスマスロと比べて人気面で大きく水をあけられているのが現状です。遊技の構造上、パチンコの方がパチスロ以上にスマート化を目指す必要があるとも言われており、低迷脱却は急務。スマパチには更なる新機能が補充される可能性が高いと予想されていました。ここが後述するLTへと繋がります。
P機とe機の違い
スマートパチンコの登場により、「P機(従来のパチンコ)」と「e機(スマートパチンコ)」の区分で運用されるようになりました。この違いは玉を使って遊技するかと言われていますが、実際には玉を弾いてプレイするゲーム性は変わっていないため、「一連の遊技でプレイヤーが玉に触れるかどうか」というのが正解でしょう。
スペックとしては大当り確率の下限がP機では1/320であるのに対し、e機は1/350。e機の方が低く設定できる分、より大きく吸い込める⇒確変などで大きな差玉を出せるということになります。また、e機ではCタイムを用いることができますが、両方の枠で搭載できるLTはCタイムとの併用が不可。2025年の段階ではLTの人気が高まりつつあることを考えると、Cタイムの存在意義はかなり薄れています。
ラッキートリガーの登場
ラッキートリガー(LT)とは新解釈基準により、2024年3月から導入できることになった概念的機能で、従来のパチンコ機における「総量規制」をとある起点から考慮し、一時的に超えることができるというものです。機種ごとに用意された条件を満たすことで、その後の出玉を飛躍的に伸ばす可能性を秘めていますが、当然その分のリスクも増大する点には注意が必要です。
ラッキートリガー2.0の登場
ラッキートリガー(後の展開によりLT1.0と呼ばれる)のデビューからすぐさま強化されたLT2.0が発表されました。これはプレイヤーから「確かに大きな出玉を期待できるようになったけど、もっと身近にLTを体感できる勝負がしたい」といった要望を受けてのもの。LT1.0との違いは、LT到達率とLT期待値の積(初回除く)が総獲得遊技球数の期待値(初回含む)が1/2以下でしたが、スマパチについては2/3以下までOKとなり、LT突入率を初当りの22%くらいまで引き上げる設計が可能となりました。
2025年7月の規制緩和でラッキートリガー3.0プラスが登場

2025年7月7日、つまり令和7年7月7日と「7」の並ぶ日にラッキートリガー3.0プラスが始まる運びとなっています。スマパチに限れば、これまでのLTよりも大幅なゲーム性の拡充、即ち規制緩和の方向で進められると言えます。
LT2.0(スマパチ)では初当りを含む獲得出玉期待値は3200個未満でしたが、LT3.0プラス(スマパチ)では6400個未満に。単純に倍の期待値でスペックを設計できることになります。そして、LT突入時に限定すると、LT2.0では3000個の2/3の2000個未満でしたが、LT3.0プラスは6000個の4/5まで引き上げることができるので4800個未満…と2.4倍とLT突入時の破壊力がより増していることが分かるでしょう。
これまでのラッキートリガーとの違い
LT3.0プラスでは、以下の条件を満たすことで搭載することが可能となっています。
- 総獲得遊技球数の期待値を3,200個未満(スマパチは6,400個未満)にする(初回含む)
- 初回を除くLT到達率とLT期待値の積を、総獲得遊技球数の期待値(初回含む)の1/2以下(スマパチについては4/5以下)にする
- Cタイムを搭載しない
緩和部分はスマパチが大きく恩恵を受ける格好で、スマパチ特有のCタイムを捨てる代わりにLT3.0プラスを採用できるといった内容。また、プラスに関しては時短の内容が見直され、開発次第では全く新しいゲーム性が生み出される可能性が高いとされています。
ラッキートリガーの緩和の変遷
- 2024.3 ラッキートリガー1.0 LT到達率×LT期待値=3200個×1/2
- 2024.7 ラッキートリガー2.0 LT到達率×LT期待値=3200個×2/3
- 2025.7 ラッキートリガー3.0+ LT到達率×LT期待値=6400個×4/5
新Cタイムの登場
スマパチ(e機)ならではの機能として「Cタイム」が登場しました。これも緩和の一部です。Cタイムは台の内部状態が別の状態から通常状態(低確率状態)に戻った最初の変動の抽選を特別なもので判定できるというもので、確変を抜けて通常状態になったばかりではCタイム抽選待機とも言うべき状態にあります。
ここでヘソに玉が入るとCタイムとしての抽選を1回転だけ受けることができ、最大20%の割合で確変(ラッシュ)などへ直接引き戻すことが可能といった利点があります。また、確変抜け後以外にラムクリア後、特定の回転数消化後もCタイム突入契機となります。さらに、Cタイムによる獲得出玉は総量規制の外に該当するため、P機の確変性能よりも高く設計することが可能です。
CタイムとC時短の違い
CタイムとC時短…名前は似ていますが、その内容は別物です。時短には
- a時短…大当り終了後に発動するもの
- b時短…通常状態において、所定の回数を消化して大当りしなかった場合に発動するもの(遊タイム)
- c時短…通常状態において、大当りとは別の、特定図柄に特定の組合せが表示された時のもの(=ハズレの一部)
の3つがあり、そのC時短がCタイムと名前が似ているため混同されがちということです。
新機能『P-スキップ』の登場(スキップ機能復活)
最近では「P-スキップ」なる機能を搭載した機種も登場しています。これはハズレ時の変動でプレイヤーが任意で特定の操作(ハズレ変動中に玉を打ち出して特定のゲートを通過させるなど)を行うことで、当該のハズレ変動を即終了させることができるというもの。新しい概念ではありますが、特別の規制緩和が行われたから実現したわけではなく、従来からできていたもの同士を組合せて生み出された機能となります。
ちなみに、変動のスキップ機能は過去にもありましたが、本来認められたものではなく禁止に。それとP-スキップは全くの別物です。
パチンコ業界はなぜ規制と緩和を繰り返すのか

パチンコ業界ならではの表現として「規制緩和」という言葉があります。まず規制があって緩和されるということを暗に含むことはお分かりいただけるかと思います。では、なぜ規制が先かというと、そもそもの成り立ちが一定の基準を満たしているから事業として認められるからです。これは特段パチンコ業界だけの話ではありません。
ただし、競馬など他の公営ギャンブルと比べて、ルールの規制と緩和を多く繰り返しているのも事実。ですが、実はそれだけこまめに業界内において内規を調整することで、時流に沿った内容で運用しているということでもあります。ここ30年超では警察庁が大きく介入する法規制はパチスロで言う4号機、5号機、6号機の切り替えの3回しかないことになっています。
今後のパチンコ業界の規制と緩和はこれからどう変わっていく?
結論から言うとこれからもパチンコ業界の規制と緩和を繰り返して、調整を続けていく運用となるでしょう。監督する警察からすると、大きく「不正の排除」と「過度な射幸性の抑制」の2点を注視しているのは明白で、前者の方は概ね達成できていると判断している様子。
残る1点、射幸性が高くなりすぎないように目を光らせているような状況ですが、今回のLTのように内規変更でプレイヤーのニーズに応えていくといったスタンスのままが高いと言えます。
パチンコの規制緩和についてのよくある質問
ここではパチンコの規制緩和に関してのよくある質問をまとめました。
パチンコの399はなぜ復活したの?
厳密には復活していません。P機では1/320、e機では1/350よりも高い大当り確率で抽選しないといけないことには変更はナシ。大当りの振分けを調整し、極力少ない出玉の大当りを「チャージ」などと称し、あたかも大当りと見せていない演出で誤魔化しているわけです。逆に言えば、チャージ出現確率と図柄揃いの確率を合算すると、必ず前述の下限大当り確率よりも高くなっています。
パチンコの95000発規制はいつまでですか?
パチンコ業界では3年程度を目安にギャンブル依存症などの対策の一環で射幸性を見直し、社会情勢などを考慮して望ましい基準を判断していくこととなっています。
コンプリート機能の95000発はその中の一つであり、仮にこのままインフレが進めば給与水準も上がるため、195000発といったラインに上昇することも、逆に動く金額が1万円だって大きすぎるとなれば9500発に下げられることもあり得ます。いずれにせよ、それがいつまで続くということは明言することは不可能でしょう。
規制緩和2000発はいつからですか?
パチンコ業界では3年程度を目安にギャンブル依存症などの対策の一環で射幸性を見直し、社会情勢などを考慮して望ましい基準を判断していくこととなっています。
恐らくLTの2000発への規制緩和を指していると思われますが、LT1.0のことなので、2024年3月からです。
パチンコの規制緩和についてまとめ
本格的な規制が入れば、大きくファンが離れるのは過去の事例から明白です。その規制もやるからには大胆に行う必要があり、その後に規制緩和がなされるのもまた自然な成り行きでもあります。2018年法改正で鞭を振るわれてから7年後…今は飴のターンであるに過ぎないとも言えるでしょう。
問題はここの飴ターンでメーカーがやり過ぎてしまうこと。そうなればまた鞭の出番となり、前回以上に強力な規制が行われる可能性が高いものの、近年ではコンプライアンスの順守が求められるなど、社会の監視も目も厳しくなっているので、いつまでも同じ過ちを繰り返さない未来もあると言えます。